質問スレ[115]
02/23 11:37
kirsche

■作品の評価について
奥主榮さま、ありがとうございました。
ご親切に感謝申しあげます。複眼の思考に感動させていただきました。
日ごろ「誤解の裾野は広いほどいい」としておりまして……拡散は拡散でオモシロイものがございますが複眼の思考に誘われまして、どうでしょうか、もう一つお教えいただけませんでしょうか? 好ましからざる人間性の人の作品の評価についてです。
 行乞の多くが自分が選者をしている自由律俳句結社『層雲』誌への投稿者を訪ねる旅であり彼らの家に押しかけては、しばしば爆酔してしまう山頭火。「現代の抑圧されている民衆の詩、それが川柳なんだ!」と主張し反戦川柳を作りつづけたものの《修身にない孝行で淫売婦》
《玉の井に模範女工のなれの果て》などと一生懸命生きている弱い人々を蔑む句を公表してしまう鶴彬(=本名:喜多一二)。それに、初見で
  何故急ぐ何れ死が来る木枯に
  嬰児(みどりご)に子安大師の恵みあり
  歩一歩仏に会へる
  草遍路涯は大師の懐に
  生きて行くから、歩くんだ!
  慟哭の声谺せよ寒の月  
    〔句集『風懐に歩三昧』から〕
などの作品に感じるものがあった田中幸次郎被告。昨年の夏、NHKのオン・ジ・エアがきっかけで、お四国さんの高齢の歩き遍路が逮捕された事案、ちょっとした衝撃でございました。お遍路さんになる前に犯していた殺人未遂事件……贖罪のつもりの歩き遍路6年(2千日以上)の末の逮捕劇でしたが自ら「へんろ幸月」と称し「幸月さん」と親しまれ「6年前から遍路道を歩きつづけ沢山の人に生きる勇気を与えてくれました」など、賞賛の声が多くファンも少なくないのですが法廷では、被害者を何度も刺しておきながら「殺意はなかった」といい「歩き遍路の方が拘置所よりも厳しい」と持論を展開するなど罪を悔い反省している人間とはとても思えない姿だったそうで、1/19に大阪地方裁判所802法廷、第4回公判で懲役7年を求刑され明後日2/25(水)に判決が言い渡される運びになっているのですが……句集(作品)→逮捕→裁判の時系列のなかで、私は彼の作品に具現されている本物ではない悟り(のようなもの)に感動した自分の不明と錯誤に「しまった!」と屈辱を覚え悔いています。

 慟哭の声谺せよ寒の月  幸月
  
 これは実母へ詫びている句だそうです。贖罪のつもりの歩き遍路6年、彼は刺し傷が因で被害者が障害を負っていたことを知りませんでした。先ず最初に被害者に謝罪し、できる限りの賠償をするという人間として最低限のモラルすらもたず「歩き遍路の方が拘置所よりも厳しい」などと法廷で主張するいただけない人の作品に初見で感動した私は句集(作品)→心不全などで急死、という時系列の展開で過去の犯罪が暴かれないままだとしたら、知らないままに作品をくり返し賞賛しつづけているとおもうと愕然とします。
 これは私が日ごろ結果オーライよりもプロセスを大切にしているからなのかもしれませんが死刑囚→俳句づくり→死刑執行、の結果に佳作が遺っているというのとは次元が違います。鶴彬・山頭火それぞれ、引っ掛かるところがあります。

彼が犯行→自首をしていたら売れつづけている句集『風懐に歩三昧』は存在していないことになります。

いかがでしょうか?
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