2006 12/27 16:14
麻生深月
新入りのくせに品評会に出れず、申し訳ありませんでした……!
言い訳としてみなさまの作品の中から一・二首ずつ
特にお気に入りのものについて書かせていただきます。
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■ふるるさん
>「さむいね」と言い合える子がいたっけなそっちはとうに冬なんだろね
都会に引っ越した田舎っ子が地元の雪国に残してきた友達を
思いだしてる感じがすごくいいです。可愛いです。
>雪の降るふるさとの雪ふみゆきて冬はわたしのふるさとにあり
リズムと音が素敵です。
私は雪と馴染みのない地方にばっかり住んでるので
雪国のふるさともいいなあ!って思えるような歌でした。
■沼谷香澄さん
>ふるさとの高い湿気に包まれて ぼたん、ぼた雪、暖めてくれ
「ぼたん、ぼた雪」の響きがとっても好きです。
なんだか、かたまりが見える感じですー。
>安心が人を大胆にするそうなのかだったら氷を割ればよかった
雰囲気が良いと思いました!
「だったら氷を割ればよかった」ってことは実際氷を割ってないんですよね?
で、「安心が人を大胆にする」ってことは「大胆=氷を割る」で
「今思えばあのとき、あんなにも安心してたはずなのになあ、それなのに、
あのときの私(ぼく)はそれに気づけなかったんだ」
ってことだと思って読んだのですが、違ってたらごめんなさい……(汗)
■PULL.さん
どこからどこまでが一首なのかわからない短歌、斬新でした!
全体的に可愛らしい言葉遣いで、ほわわんとなりました。
「ぬくぬくが脱けてゆくの。」という表現が特に好きです。
■ピッピさん
>制服来てローソンの壁に寄り添えば降ってる雪も味方にできる
「着て」ではなく「来て」なのが面白いと思いました。
降ってる雪を味方にできるのは、心強いような、さみしいような。
>夏、遠くのものが見える 冬、近くのものが見える鋭い世界
これは季節の本質を表してるなあ!と感動しました。
まさに鋭い感じです。
■こもんさん
>ふたりからひとりになるのを引き算で説明してもなにか足りない
この感覚、すっごくわかります!せつないです。
2−1=1 で、もとの1に戻るだけなんだけど、それなのに足りないような
気がしてしまうんですよね。
■□■さん(■で段落分けすると□■さんの名前がすごいことに!)
>鍵盤にひとつぶ落ちる(きん、たたーん)からっぽだから響いてしまう
「きん、たたーん」の響きや「からっぽ」という言葉がつめたくて、
でもすごく透き通った感じがします。
>あしあとを五線譜にのせ(しもばしら、しゃくしゃくしてる)吐息をゆびに
「しもばしら、しゃくしゃくしてる」がとっても可愛いです。
「しゃくしゃく」した感触が浮かんできます。
■ヒツジさん
>舞い降りる白い音符を 口を開け ぱくぱくぱくぱく 飲み込んでみる
雪を「白い音符」というのが可愛いです。
「ぱくぱくぱくぱく」の響きもいいですし、とっても好きです。
>屋上に積もった雪に書いた遺書 消えていくから何度も書いた
積もった雪に書いた文字が消えてっちゃうくらい雪が降ってる中で
屋上でひたすら遺書を書いてる、っていうのが壮絶ですね。
■芙雨さん
>”遅くに外へ行っちゃダメだよ”モミジの手にはシャーベットが融けだす
小さいころの記憶が戻ってくる感じと、大人の視点から
可愛い情景を想像してきゅん、と一首で二度おいしい感じです!
■石瀬琳々さん
>雪片が水にふれては消えてゆく記憶の湖面忘れるための
「記憶の湖面忘れるための」で終わってる余韻が好きです。
とても綺麗な世界観のある作品だと思います!
>せつな刹那やさしく閉じて音もなく真綿のように雪は降りつつ
「せつな刹那」の響きが好きです。
雪が降ることについて「やさしく閉じて」「音もなく」「真綿のように」と
重ね重ね言っているあたりに素敵なこだわりを感じます。
■関根悠介さん
>流星に嚔(くしゃみ)四発撃ちつける間もなく燃えつきる恋心
すごく勢いのある歌だなあ!と思いました。
これひとつで成り立った「嚔」というシンプルな作品、圧倒されますね。
■クロエさん
>棘ほどの甘い記憶は散ってゆきとけゆきシャーベット状の路面
とけてゆく甘い記憶とシャーベット状の路面を結びつける発想が素敵です。
「散ってゆき」「とけゆき」の語感が「雪」を思わせるのもいいです!
■容子さん
>かじかんだ凍った手足と裏腹に熟れたつぼみは少女を咲かす
これは目が離せない歌ですね!「手足」と「熟れたつぼみ」の温度差が……!
ちょっと官能的な想像をしてしまいますー。
作品全体に鮮やかな「赤」を感じます。
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みなさまのいろんな歌を拝読して、とっても勉強になりました!
こうやってたくさんの短歌に触れることができて楽しかったです。
私の作品を読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします(ぺこり)