○現代詩フォーラム短歌部○[277]
2005 09/16 23:36
山田せばすちゃん

●きみのつく嘘を嚥下す真夜中に睡眠薬を飲むようにして・・・1点
そうなのだよ、嘘は咀嚼してはいけないのだ、ぐっと丸呑みにするのさ、多少のどのところで引っかかりそうになってもね。
「嚥下」と「飲む」を二回使ってるあたりで多少字数の損をしているかもな、などと。
「嚥下」はいいですよ、部長。むしろ「嚥下」だけで押し通してもいいかと思いましたよ、俺は。

●東京の高層ビルの屋上で智恵子の嘘を見上げて笑う・・・1点
ええとね、上手いよ。 でもちょっとなんていうんだろう、叙情よりも「理」が勝っちゃってるみたいな気もするな。
「東京」「空」「智恵子」とくればもちろんこれは高村光太郎。「智恵子抄」より「あどけない話」まで一直線だあね。東京にも空はあるのだよ、智恵子、と。ただそれを「嘘」と捉えたいかというと多少・・・引っかかったりもするのだけれど、だって智恵子は「あどけない」んだからさ。

●眼帯をしていなければ眼帯が欲しくなる嘘ばかりの世界・・・1点
眼帯というアイテムはやはり秀逸だ。
ただ上の句がきちんと定型で下の句に句またがりがきてるのだけれど、これはうーむ、定型にきちんと載せるか句またがりばかりで破調させるかどっちかに統一してほしかったよな気がします。個人的には上の句からもっと韻律を無視して、破調のまま下の句またがりでおさめることで、絶望感というか焦燥感というか、ヤブレカブレな気分にさせてほしかったかも。
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