おすすめ小説スレッド[30]
2005 01/02 01:09
佐々宝砂

あえて、おすすめしてみようかなあと思います。

正月にぼけぼけしたアタマで読むなら、中勘助の『鳥の物語』がおすすめです。短編集です。おおどかなゆったり口調の物語から、痛ましい宿命を描いた詩的で美しい物語にいたるまで、さまざまな鳥にまつわるさまざまな物語が収録されています。

前衛な小説は海外のものや筒井康隆が書いたようなものに限る!と思ってる方におすすめなのは、柴田錬三郎の『うろつき夜太』。たいていのバカげた実験は、この小説一本で既に実験されちゃってます。もちろんそれ以前にいろんな人がいろんな実験をやってますけれど、あまり有名でない実験小説として『うろつき夜太』はおすすめ。なにがすごいって、前衛的な実験をやり放題やってるのに、あくまで「芸術作品」ではない「大衆のためのエンターテイメント作品」であるところがすごいのです。読んだ方がいいと思います。読みなさい。読め。

アンソロジーで「こりゃすごい」と思うのは『夜の姉妹団』。朝日文庫から出ています。個々の小説もすごいのですけど、これだけクオリティーの高い小説を集めてきた翻訳者柴田元幸の力量はほんまたいしたものだと思います。
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