2005 01/03 04:26
嘉村奈緒
ちぎっては埋められて、冬になる頃に活気づいて
凍てついた給水塔からザリザリと舌を伸ばし
染む指の人は世界が鱗であることを知りつつも
積もる色きちがいたちに雄弁に語られ
羅列する千鳥格子に名前をつけられてしまうばかりで
でしゃばってはならない労働者たちの顔もぼやけ
焼け野原で生き物たちが脱いでは生まれ生まれては細くなり
鳴り響く声、に、甘味のする糸を複雑に交わらせ
螺旋状の意識の中で今にも落ちてきそうな天井と向き合う
生まれ生まれては細くなり、声、まばらに鈍く光って