佐々宝砂

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慕っていた
いたずらじゃなかったし
確かに嘘じゃなかった
たまに思い出すあのひといきれ
きれぎれの辞書すら
スラッシュを載せている
イルミネーションの裏
占うのは昨日のゆめ
ゆめ疑うなかれ
彼の心はもはや
はやてのように駆け去り
さりとて
とてもかわりは見つからない
ないないづくし
奇しくもスラッシュ
宿命だったはずなのに
野にも山にも海にも見えず
絵図にも書けず
削り取ったきれぎれの辞書だけが
けがれるだろう明日のわたしを
しおしおと掲載する

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