古書肆 新月堂[19]
2007 09/22 13:36
楢山孝介

八木重吉の詩三編

「息を 殺せ」

息を ころせ
いきを ころせ
あかんぼが 空を みる
ああ 空を みる


「風が鳴る」

とうもろこしに風が鳴る
死ねよと 鳴る
死ねよとなる
死んでゆこうとおもう


「素朴な琴」

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかね(て)
琴はしずかに鳴りいだすだろう


「八木重吉詩集 日本詩人選14」(小沢書店)より
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