エリオットしとりあそび(2)[470]
2005 01/21 01:46
Monk

>>465
*** レビュー ***
「世界の中心で一杯の電車男」

某巨大掲示板で感動すら与えた「電車男」。彼に続けとばかりに期待を抱く者、妄想す
る者、そして膨大な下心。しかし彼らの生活は変わらず怠惰な日々を鬱々とすごすばか
り。
今日も今日とて彼らは電車に乗り込む。そんなある日・・・
全国各地で彼らを乗せた電車が巨大な衝撃に襲われる。そして全ての電車はいっせいに
同じ目的地を目指し始める。それは「世界の中心」。いったい世界の中心になにがある
というのか。次々に送り込まれる電車男願望の男たちは世界の中心でいったい何を思う
のだろうか。

いわゆる「漂流教室」のようなパラレルワールドを描いた作品。連れ去られる男たちに
共通するのが電車男願望である。いっせいに同じ目的地を目指す電車群の様子は迫力が
あり、ひとつの想いが集結する場所=世界の中心、というのは膨大な感情の坩堝という
か、感情の排水溝というか。しょせんは下心の集結なのだが、苦笑いしながらも一方で
は壮大なロマンすら感じてしまった。
だがストーリーが進むにつれて集結していく電車男たちは、もやは堆積していくと言っ
た感じで無限分裂→増加を繰り返すアメーバーのような気味悪さがある。世界の中心は
無数の下心で埋め尽くされ、そしてついに溢れ、巨大な意思体(なんと地球規模!)と
なり地球に降臨するのだが、これは明らかにエヴァのパクリだなぁ。
ともあれ下心のパワーはすごい、ということだ。また登場人物は全て男。漢と書いて男
である。さんざん期待させといて!と賛否両論のようだが私はそこに作者のメッセージ
を感じた。唯一生まれたカップルがあるのだが(当然、漢と書いて男同士)、彼らがつ
ぶやいた一言「めしどこかたのむ?」には笑った。誰にきいてるんだ、と。
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