RT会議室突発連詩ログ保管庫[104]
2005 12/16 00:50
半知半能

05.12.15 深夜 リアルタイム会議室A 
松本卓也 → 半知半能
(基本は一行交代
 1〜2、4〜5、9〜11行と15〜16行(松本担当)では一行が長かったので改行しています)


凍える朝 駆け込む満員電車 
一瞬で曇る眼鏡に遮られる世界
これからどこかへ向かう人々の顔 顔 顔
向き合わぬ視線に訳も無く怯え 
吊革に顔をうずめ 眠ったふりをしていた

車内放送が告げる次の急行停車の駅の名前がどうしても覚えられない
いつか僕は あの急行で遠くに旅立つ事さえも夢に見ると言うのに
まぁ 夢は夢だよね と誰かがつぶやいた
それは誰かであって 僕であって 決して幻でもない 現実の呟き 
振り返る先に携帯を弄る女子高生 新聞を読むサラリーマン 
口篭もる声はいつも一つだけのようだ

いつもどおりため息を一つ深く吐いて 25分の冷凍睡眠
停止 開くドア 押し寄せる人波 巻き上がる風 街が口を空けて僕を飲み込む
血流の一分子として決まった道筋で街を行くけれど 駅前はひどく動脈硬化だ
見上げれば 雪とも雨ともつかぬ粒が舞う 
手を伸ばす隙間さえないのに どうしても触れたくなった
手を窮屈に伸ばすとひやりとした感覚を体温が消す
このまま雨雪を伝って 空に登ってしまえればなんて柄にも無く思う

それだけだ
他に思う事なんて無い

会社のゲートをくぐってPCの電源を入れる と
起動までの数分 喫煙所でのささやかな祈り
吐き出す煙にかすかな本音をのせて
窓の外 積り行く雪に少しの願いを混ぜながら
カチリと ライターで現実の端を焼いた
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