批評しましょ[196]
2004 08/21 07:53
いとう

>>171
「批評すべきものではない、あるいは批評しても意味のない作品」という点について。
もう少し丁寧に説明したほうがいいと思ったので書いとく。


まず、「足」が、改題されたものであることから触れる必要があると思う。
原題は「貴方というひと」であり、「文字書きさんに100のお題」という企画から発生している。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/8014/poem100_main.html
この流れから、「足」という作品の内容が実話をベースにしたものだと、ほぼ確信しています。

それを考慮して読むと、作者にとって「足」の中には、詩として提示すべき要素や提示すべきとする衝動から、“外れた”もの、もしくは逆に(あるいは同時に)、それこそがこの作品を成した、成そうとした要因であるものが含まれていると感じています。
実際、他の人はどうか知らんが(笑)、俺は読んでいて、(話者ではなく)作者の、恋人に対する親愛、誇り、(もっといろいろ、言葉にできないようなものも)などを、痛切に受け止めている。
そして、そういったものに対して、批評という行為は、無為に終わるのではないか、と考えるわけです。

ここで強調しておきたいのは、「実話だから批評しない」と言っているのではなく、「この作品を、実話をベースとしたものであることを考慮して読んだときに受け止めることのできる作者の心情、じゃないな、思い、んー、上手く言葉にできませんが、なんかそんなもの、に対して、作品の批評は意味を成さない、あるいは批評の内容や仕方によっては、それを冒涜する行為につながる可能性がある」と思っているということです。

もちろんこれは、俺自身のスタンスから帰結するものであって、他の人がこの作品を批評することを批判しているものではありません。
作品として提示されている以上、その、作品の部分において、批評されることを拒めないと考えているし、その考え方はひとつの考え方として、支持しています。
そして、その考え方を、自身の中での切迫した衝動、矜持、焦燥などとして持っている人たちがいることも理解しています。
(蛇足で言うと、批評の内容の良し悪しの判断とその考え方の支持は、また別物です。
 そして、上記の“なんかそんなもの”を考慮しながら行われる批評に対して、最大級の賛辞を贈ります)
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