2021 10/31 02:18
墨晶
「美しい日々」
著者・片山健
https://bit.ly/3nHiTbN
片山さんの絵は水彩、油彩、木炭(鉛筆?)と画材によって趣が変わる。わたしは片山さんの木炭画が特に好きだ。
「ものがたり」がある多くの片山さんの絵本と比べ、絵本と云うより画集と云ったほうが良いのかもしれないが、無表情な子供たち、木造校舎、底なしの暗い便所、水泳教室など、頁を捲る度に現れる無音の地獄の連鎖はわたしの親の世代から視続けられた悪夢の写し絵のようで、漠然とではあるがそこに、「夜、悪夢を恐れながら眠りに就く子供」の「ものがたり」があるように思う。また、まさに正解の「子供の性の多形倒錯性」が胸を衝く。
昨今入手困難な本ではある。通底する世界観が確認できそうなのは、河出文庫のシャルル・ペロー作・澁澤龍彦訳の「長靴をはいた猫」の挿絵が片山さんなので、是非とも手に取って頂きたい。