雑談スレッド5[747]
2004 10/17 23:47
石川和広

ヒトラーについて詩があります。神尾和寿さんの詩です

(引用)


「ぼくに気づいてね」

とにかく大きな音を出さねばならない
とにかく大きな音を出さないことには
ここにぼくがいることに誰も気づいてくれない
ここにぼくがいることを宣伝しよう そうだな
世間なれしたゲッペルス君に頼もう
世間なれしたゲッペルス君に頼んで ラジオや映画では
カナリヤのようなぼくの声に電圧をかけてもらおう
たくさん破壊しよう とにかく
たくさん殺さないことには
ここでぼくが生きていたことには誰も気づいてくれない

神尾和寿「七福神通り」思潮社2003

ここには、彼は挫折した芸術家?だったから
ぼくたちにとっても、しんこく問題があると思った。

ーここでぼくが生きていたことには誰も気づいてくれないー
という一節は、感動以上の渦巻く感情があり、しかし彼は
それが、自分だけのことでない、しかし、私という存在への
強力な不安を技術や殺戮にすりかえてしまう。

神尾さんはハイデガーというナチに一時賛同した哲学者の研究をしていて
詩も書いている。表現という考え方には、野蛮な孤絶した錯乱を、恐れず
しかし、自分をキチンと出しても、作者の全存在は、作品には表すのは
なかなか難しい、それを量的にのり越えてしまうのは大変な錯誤だ。

ぼくも推測だが、ファシズムは、豊かな文化のしゅごしゃをもってしてもとめられ
ず、現代文化に大変な危惧に敏感だったハイデガーをも巻き込んだ。

僕は、>>746のような豊かな気持ちを失いたくない、しかし
それだけでは、自分の危機にとらわれ殺戮を繰り返す権力者の
理不尽さはとめられないし、なんか無関係でも、巻き込まれ
いまだに傷を残している。

ヒトラーの演説に巻き込まれたのは聴衆が愚かだったかどうかは
置いといて、深刻な生きがたさが第一次大戦のあと、民衆を相当
苦しめていたこともあろうかとも感じます。
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