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*一行物語とは 全体で「。」が一度だけ現れて、そこで終わる物語。短い。改行不可。ブラウザの表示の都合による折り返しは可。 一行詩不可。あくまで物語。 *例いくつか ・ふたりともついつい体に有刺鉄線を巻いてくるので、何度デートをかさねても抱き合うことがなく服を脱がせあうこともない。 ・幼馴染のふたりが年老いて死刑囚の監獄で再会し、一方が執行のために連れ去られる日まで、寝る間も惜しんで、幼年時代の出来事や故郷の風光を思い出しあった。 ・墓地から枯れた花束を盗んでくるたびに背骨が少しずつ湾曲してゆく。 飯田茂実『一行物語集 世界は蜜でみたされる』(水声社、一九九八年刊)より *他参考リンク Monk『おはなし 1〜50』 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=10872 アギにウザきがモモエを傍らに乗せて、ほら、ポルシェが宙を飛ぶよ。 寒くなるとどうしても下半身の把手をいじってしまうのはそこだけ熱いからだろう。 人生チャートで描いた私の人生は、気づけば明後日の方向へ飛んで行った。 今日も生きていた…明日が過去を振り返れば ヂーにはそのとき、高橋が風を捕まえた、のではなく、高橋が風に捕まったように見えたらしい。 身を乗り出す人に話しかけてくる会話のできる冷蔵庫があれば思い留まれる人もいる。 お邪魔しますー。 今日は誕生日で今日は命日です。天然理心流だとか、北信一刀両とか、調べるとなかなか面白くて、ああ、中岡くん、僕は脳をやられてしまったようだよ。 お邪魔しました。 「脱獄囚だったこともあったが」と言った相手と、それに目を丸くした私との間には、当然のように鉄格子があった。 * 何度ゴールに近づいたか、男は、数え切れないな、と思ったし、また目指していたゴールが、さっきもすぐそこに見えて来て、今そこを確かに通過したはずだ、と思ったがやっぱり、どうしてもゴールをくぐった途端、ふたたび振り出しに戻るだけだった。 * * 「犯人はわたしである」そう語るところから始まるこの本格ミステリには、ただし、27人の「わたし」しか出てこない。 * タイムカードを毎日三分だけ増やして切っていたら、その一ヶ月後に、一時間分の自分の休憩時間を得ていたことに気づいた。 死を抱えながら尻を追いかけ葬列は巣穴へ帰る。 そのロボットは自分の故障原因を突き止めるとパイロットの遺体に向かい修理方法を一通り説明して、あとよろしく、と電源を落とした。 (タイトルをつけるなら「信頼」) 星は確かにいただいておりますが、とウェイターは困り顔で故郷を失った宇宙人をなだめた。 強い宇宙線を浴び頬を火傷にただれさせて、彼女は言った、あなたに会うためにこの星まで来たのです。 青く濁った用水で二匹のあゆが縄張りを争っていたが、水の中から見上げると、きらめく太陽の下で愛し合っていた。 ごめんと謝りながら台風の後の夕焼けを綺麗と思ってしまうところが男の偽善者たる所以。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 スレッドを新規に作成したり、コメントを書き込むにはログインが必要です。
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