あの朝ホームを離れる電車に乗ったお前が俺を探す様な顔つきをした一瞬が引き起こした微熱について。
虹村 凌

離れ行く電車に乗ったお前と滑り込んだ電車に乗ろうとする俺
数メートルも無い二人の間の幾多もの障害物
二人の視線
遮るように重なる
交わらない視線虚しく空を切り萎れていく
残された微熱今なお引かず指先震えて

キリが無い
お前の知らない部分お前が知らない部分
全てをさらけ出して求め合う愚かさだけを知っている二人
包まれている交わした微かな温もり
手軽な物語を探せない苦しさ
忘れない
忘れない
忘れない
お前が残した微熱が引かないままで
逆方向に遠ざかる電車の中
風の無い季節
誰もが貪る様に物語を求める中
忘れない
お前が残した微熱
期待外れでしょうきっと
その微熱
懺悔の後で溶けていく微熱
悔やまない心が欲しい
お前が残した微熱が引かないままで
今日も電車に乗っている


自由詩 あの朝ホームを離れる電車に乗ったお前が俺を探す様な顔つきをした一瞬が引き起こした微熱について。 Copyright 虹村 凌 2007-01-04 21:28:30縦
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