静かの先まで
恋月 ぴの

静かな湖面に
あなたとわたし
ふたりきり
いつもは感じ得なかった
あなたの男らしさを
ちょっと見直してみたりして
(フレアミニなら喜んでくれたかな
季節はずれの湖面に
あなたとわたし
ふたりきり
逞しそうな二の腕で操るオールの先に
これからを賭けてみたりして
背中で探る
行き先はどこなのかしら
艫に腰掛けたわたしには見えるけど
今は教えてあげない
儀式のようで
レッスンのようで
もしかしたらおままごとにも似ていて
瓢箪のようなかたちをした湖に
あなたとわたし
ふたりきり
(ずるして後ろは見ないでよ
舳先で切り裂いた静けさが渦を巻いて
これからどうする気なのかしら
艫に腰掛けたわたしには見えるけど
今は教えてあげない
あなたとわたし
ふたりの未来


自由詩 静かの先まで Copyright 恋月 ぴの 2006-12-28 22:06:57縦
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