遠雷の口笛
たりぽん(大理 奔)

針を含んだ
夜更けのくうきがはこぶ
とおい稲妻の裂ける音
面影のように遠雷
かすかに

  (雪を呼んだのかい、それとも)

コートのポケット
握った手は汗ばんでいるか
遙かな遠吠えを
呼ぶかのように
へたくそな

  (それとも、雨が欲しいのかい)

消波ブロック
挑む波は叫んでいるか
幽かな嗚咽を
かき消すかのように
へたくそな

  漁船ふねはまだ戻らないさ
  あいつもまだ
  いどんでいる
  さびしがっている
  つよがっている
  あいしている

目を閉じて
吹いてはいけない

へたくそな
、口笛





自由詩 遠雷の口笛 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-12-25 00:02:35
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