1999年 火曜日
馬野ミキ

東京で買ったお洒落な服を着て街を歩く。
けど、通り過ぎる女の子の
誰も俺を見てない。
むかつくから母に下駄を買ってくるように命じ(海で裸足で遠くまで歩いてたら盗まれた。)
下駄を履いて街に出た。
まぁ、街ってほどでもない。町ぐらいなもんなんだけど。
そしたら、ちょっと見た。
けどあんまり見なかった。
ヤンキーみたいに歩いて下駄をカツンカツンと鳴らして歩いた。
そしたら少し目だてた。
けどみんなすぐ目をそらした。
それでもいい。目をそらしても構わない。ちょっとは俺を見てくれたんだから―

ローソンの前でスクーターを改造した倉吉暴走族にあった。
きっとこの辺だと河北中だから、俺の後輩だから、ツカツカ歩いていって威張ってやろうと思った。
半分エヘヘって笑いながら近づいた。
そいでトークしてたらそのうち殴られて、コンビニの前で集団ボコボコにされた。
人たちが遠くで見てて、コンビニの可愛い子も見てた。
恥ずかしかった。
恥ずかしくて涙がこぼれてきた。
幾つも下の少年たちに取り囲まれ、キックされる度にダサいうめき声をあげている。
これが俺なのだ。
誰かが遠くで「警察、警察!!」と叫んでいるのが聞こえた
こんなもんなのだ、俺は。







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1999年3月


自由詩 1999年 火曜日 Copyright 馬野ミキ 2006-12-23 20:18:45
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