1999年 月曜日
馬野ミキ

田舎に帰ってきた。
就職して始めての一日、職安で見つけたんだ!会社に向かう途中、
チャリキがいきなりパンクして
うなった。
考えた。
会社いくの、やめた。
自転車を思いっきり、コンビニに向かって投げた。ごちそうさま。
シラフだ、根性で。あとはやる気。
百メートル走って、七秒台だったと思う。自分時計で。
まだまだ、捨てたもんじゃねぇ。公式記録、塗りつぶせ。
構わない、バスに乗ろう。
遠くまで。
ここが見えないくらい、遠くまで。
でも臨海公園、ここで降りよ。
バスじゃそんなに遠くまでは行けないよって、
昔おばあちゃんが言ってたの思い出した。
おばあちゃん、葬式いかなくてゴメン。メンゴの気持ち、忘れない。

メンチをきる。
調子にのりかけてた弱そうな中学生をにらむ。えへっ。
快感、強い気がする。
強くなったみたい。
王様みたいでちょんぼ。
ジャングルジムのてっぺんに脚を引っ掛けて逆立ち。
煙草が落ちても気にしないねっ。
そこには青空があったよ。
おっきいおっきい雲がもくもくたくさん流れてて、
きっとアレって触るとふかふかで母さんみたいなんだ。
白目をする。
おかしくなって一人で笑っちゃったでし。
内藤蟻の軍隊蟻が俺の煙草をみんなでかついで
巣に持ち帰ろうとしてるのを発見。
こら、蟻君。やめないか。
ま、でも、いいや。

泳ぐ。
真冬の東郷池に飛びこむ。
やっちゃった、俺の悪いクセ。タフガイ。ちめたい。
勢いだけで人生を渡っていけると思うなよ、俺。
海老の子供みたいのがたくさん泳いでいたので
ワイルド風に全部噛んで食べてしまう。
服を乾かして、小枝にかけた。
ごみ箱からおやつのカールを拾って食った。
おやつのカールがこんなに捨ててあるなんて、倉吉も変わったものだ。
パクパク食いながら、ガキ共の野球を見てた。
勝手に審判をした。
子供たちは歓迎してくれた。
でもアレは、俺が危ない奴だと思って
共同で嘘の歓迎の演技をしたのかも知れぬ。
でもね、どのみち、いつだって若者たちは僕等より天然だし上手です。
明日から会社にいこう。









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1999・1/14


自由詩 1999年 月曜日 Copyright 馬野ミキ 2006-12-23 20:12:20
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