十一月はバラード
千波 一也


とじゆく風にひらかれて

それがあるいは逆だとしても
なおさら地図は
紙切れとなる



吐息はつまり消える熱

硝子に映る秒針を
遠ざけるものは
いつでも
そばに



こまやかな星座の
その呼び方を
失う痛みはもう聞こえない


感傷を
わすれるための感傷は
ささいな温度で
にわかに
とける



十一月はバラード

惜しむ隙間もなくした雑踏で
きまぐれな鍵が
ひとり
遊ぶ


十一月はバラード

なりゆきの人たちにも
避けたかった人たちにも
とべない翼が
降り積もる




自由詩 十一月はバラード Copyright 千波 一也 2006-12-14 15:32:13縦
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