白影
落合朱美


白鳥の声で
目覚めたような気がした 

明け方の空は蒼の階層を成して 
東の彼方の地平線のすぐそこまで 
太陽が迫ることを告げる

昨夜のうちに雪はうっすらと降り敷かれ 
まだ誰にも踏み躙られたことのない 
汚れなき乙女の色で人を招く 

薄い夜着の胸元は頼りなく 
襟を重ねあわせながら 
冷気の静寂に息を吐く 

白鳥が哭く空の
その方角をたしかめる 

空は紫から朱へと彩られ 
やがてすべてが明けたとき 
露わになる醜い姿を何よりも怖れる





自由詩 白影 Copyright 落合朱美 2006-12-13 01:07:30縦
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