スーパーカブの豆腐屋さん
あおば



豆腐
    生揚げ
      雁擬き

大きな荷台に大きな木箱
プーーポーー
のんきな音してバイクが来たよ
カブのエンジンとろとろと
とろとろ走る路地裏を
トーフーのラッパが先回り
プーポーと先回り

先回りする音より先に
先回りする気の子供たち
われがちに駆けだして
なんだか知らずに駆けだして
一着になるのが嬉しくて
嬉しくて嬉しくて
全速力で駆けだして
制限速度で走ってる
カブのエンジン驚かし
大きな荷台に大きな木箱
豆腐屋さんを追い抜いた
いつものところで追い抜いた

とろとろとろと音がして
プーポーの音を耳にして
気をつけをするおかみさん
つもる話は後まわし
ボールを抱えて突っ走る
逃げるでないよと突っ走る
襟首掴んで連れ戻し
ついでに油揚げ負けさせる
プーポーと連れ戻し
プーポーと負けさせる
わいわい言って負けさせる

鬼門の路地は入り組んで
なかなか外には出られない
御上の連合軍は来ないけど
いつのまにやら売り切れて
プーポーと売り切れて
大きな荷台に大きな木箱
からからからのがらんどう
ラッパの音を閉じこめて
カブのエンジン高鳴って
プーポーと高鳴って
制限速度を超えたまま
大通りもなんのその
プーポーと勇ましく
走って走って走ってく

はにかんだ顔の豆腐屋さん
ちょっとニヒルな豆腐屋さん
どこから来たのか知らないが
帰るところは分かってる
カブのエンジン高鳴って
明日にむかって走ってく






過去作


自由詩 スーパーカブの豆腐屋さん Copyright あおば 2006-12-10 22:26:45
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