卒業
いとう





三月になるとクラスメイトのほとんどが濡れていた
雨、と言ってもいいのかもしれない、粒子のような
猿、なのかもしれない本当は猿なのかもしれないね
と、語り合う口の中から粒が
             粘り気を伴った
                    皮膚の、
するするという音がする、ような気がする、最後の、
幾筋ものものもの

      (なめくじって英語で何て言ったっけ)

        痕跡が廊下に。痕跡が廊下の上に。
痕跡が廊下の皮膚の。痕跡、なのかもしれないねと、
語り合う君が代     (キリツしてセイショウ)

校門の外へ続く、あれはおそらく私たちなのだろう
いつまでも濡れたままの私たちのままでいて、
春には、新しい私たちと入れ替わって、





未詩・独白 卒業 Copyright いとう 2004-03-30 18:18:38
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