キャンドルサービス
虹村 凌

「愛してる」
「愛してる」
「どれくらい愛してる?」
「お前の為に死ねないくらい」
「愛してる」
「愛してる」
「どれくらい愛してる?」
「誰かに渡すくらいなら殺したいくらい」
「愛してる」
「愛してる」
「でも私はあの人の女なの」
「だから愛してる」
「どうして愛してるの?」
「板ばさみになって崩れ落ちてゆく君が美しいから」
「愛してる」
「愛してる」
「迎えにきてね」
「迎えにいくよ」
「あの人を裏切るの」
「あいつを裏切るのか」
「結婚式で」
「結婚式で」
「あの人を裏切るの」
「あいつを裏切るのか」
「計画は考えてあるわ」
「どんな計画だい?」
「洋風の結婚式で」
「洋風の結婚式で」
「私はウエディングドレスを着るわ」
「俺は上等なスーツを着ていくよ」
「私は小瓶に青酸カリを仕込んでいくわ」
「俺はガソリンの入ったボトルを持っていくよ」
「キャンドルサービスで火をつけて廻るの」
「一番最後に俺のテーブルに来て」
「みんながこっちを見ているわ」
「みんながこっちをみているから」
「あなたはガソリンをぶちまけて」
「お前は青酸カリを口に含んで」
「煙草を投げ捨てて火をつけるの」
「最期のキスをしよう」
「燃え上がる炎の中で」
「最期のキスをしよう」
「あの人を裏切るの」
「あいつを裏切るよ」
「愛してる」
「愛してる」
「愛してる」
「愛してる」


自由詩 キャンドルサービス Copyright 虹村 凌 2006-11-29 12:23:43
notebook Home 戻る  過去 未来