創書日和。白 【ながい首】
佐々宝砂

きみの首はしろくてほそくて
手折られるのを待ってる野菊の茎
だなんて
心底バカ丸出しな手紙を見つけて
真夜中にひとり
わたしはけらけらわらった
ああそうなのねそうなんだ
だからあのひとは
今ここにいないんだ
そういうことなんだ
なんだなんで気づかなかったのかな
わたしって本当にバカ
しろくてほそい首の持ち主を
ねえ わたしよく知ってるよ
あのこわたしの妹だもの
あのひとは知ってるかなほら
わたしの首もしろくてほそくて
しかもあのこより熟してるんだから
だから秋の夜のしめった風の中
わたしの首はするりと抜けて
くるくると白い螺旋巻いて
あのひとのもとまで飛んでゆく
わたし飛頭蛮
あのひとのもとまで飛んでゆく


自由詩 創書日和。白 【ながい首】 Copyright 佐々宝砂 2006-11-27 23:38:39
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
創書日和、過去。