そうなれると信じていた日
虹村 凌

くるくると廻り続けて
絵の具みたいに解けて混ざって光を放って
最後の最後には光も無くなって
そうなれると信じていたよ

あなたと手を繋ぐのはごめんだわ
私の手はあなたと手を繋ぐ為にあるんじゃないの
だめよ勝手に手を取っちゃ
唇みたいにはいかないわ

月と太陽でもあるまいし
ましてや映画でも小説でもない
あんたの手を取って遠くへ行こうとは思わない
とても怖くてあんたを連れ出せない

私はいつだってあなたを受け入れる準備は出来てるの
私はいつだってあなたを舐め上げる準備は出来てるの
なのにあなたの目は何を見ているのかわからない
あなたには5分後も見えていないでしょう

どれだけ敵を作ってもいい誰を殺してもいい
あんたさえ側にいてくれれば俺はそれで構わない
あんたの言う事が全てであんたの言葉が全てなんだ
どうすればいいか教えてくれよ
あんたに愛されたいんだ

あなたの口から出てきた言葉は信用ならないの
真っ白いノートに4Bの鉛筆で書きなぐった
そんなあなたの言葉しか信用できないの
あなたの詩ならあの人に抱かれてても暗誦出来るわ

なぁ俺の話を聞いてくれよ
あんたに見て欲しいんだ
俺の詩を読んでくれよ
あんたに愛して欲しいんだ

あなたの言葉に興味は無いの
あなたが見ているものに興味があるの
だからお願い
近寄らないで
触らないで

一声でいい何かいってくれ
愛してると言ってくれ
俺の名前を呼んでくれ

私はあの人にも他の人にも抱かれたわ
さぁどう思うの?
言って御覧なさい

あなたの手を取って踊りたいんです
くるくると廻り続けて
絵の具みたいに解けて混ざって光を放って
最後の最後には光も無くなって
そうなれると信じているんです

廻って廻って出来上がるのは
結局たただのバターでしかないわよ

犬でもいい

犬は要らない

愛してる

愛してる

愛してる

愛してた

愛してる

愛して無い

愛してた

愛してなかった

愛してた

さようなら

ありがとう

さようなら

くるくると廻り続けた
絵の具みたいに解けて混ざって光を放って
最後の最後には光も無くなって
そうなれると信じていた日


自由詩 そうなれると信じていた日 Copyright 虹村 凌 2006-11-25 15:35:52
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