詩人・一期一会 〜序章・誰も知らない一本の大樹について 〜 
服部 剛

 僕が現代詩フォーラムという詩のサイトと出逢い、自作の詩を載
せ始め様々な人の詩を読むようになってから三年の月日が過ぎた。 
自分の詩作について言えばまだ課題はあるが、只、間違いなく言え
ることは、ここで出逢った様々な詩人達の詩を読むことで影響を受
けて来たし、三年前の自分の詩と現在の詩を読み比べると、この三
年間で、ここで出逢って来たそれぞれの詩人達の感性を味わうこと
が、今の自分の詩作にとって糧になっていることを感じる。 
 もちろん詩人を志す以上は、出逢った数々の詩に影響を受けなが
らも「他の誰でもない自分」の探求であることは言うまでも無く、
もし、その一篇の詩に封じ込めた想いが読者の心に残るなら、詩を
書く者としてそれ以上の幸せは無いと思う。 
 また、現代詩フォーラムに参加することで一番かけがえないと想
うことは、様々な場所に住み、それぞれの日常を生きながら(詩)
を愛する人々が、このサイトで出逢い、詩を語り合い、その言葉に
耳を澄ましているということである。インターネットという文明の
利器には、光もあれば闇もある。ある意味「架空の世界」とも言え
るパソコン画面に向き合う時間が増えることで、「アナログ感覚」
は失われ、リアルな時間をないがしろにしてしまう可能性があるこ
とも否めない。「活字の本(詩集)を読む」・「ペンを手に取り紙
に書く」という本来自然な行為の尊さを忘れたくないとも思う。だ
が、すべての物事には「光と闇」の両面性があるものであり、一人
の人間の心も同じであることを思う時、この「インターネット」と
いう文明の利器の生かし方は、結局本人次第なのではないか・・?
と思うのである。 

 これから僕は、時々忘れた頃に、この「詩人・一期一会」という
エッセイを書くだろう。本当ならば、より多くの詩を紹介させてい
ただきたいという想いはあるが、やはり日常を生きる上では時間に
限界があるので、現代詩フォーラムで出逢った詩人の中で、瞳を閉
じて、耳を澄ましながら詩を味わう僕の心に(何か)を語りかけて
来た詩人を、この気まぐれな連載で紹介していければいいと思う。 

 今日も、この世界の何処かで、無数の詩友達がそれぞれの日常と
向き合い、それぞれの人生を生きている。瞳を閉じてそのことを想
う時、僕の胸の内に宿る(詩情)が、静かに打ち震えるのを感じず
にはいられない。

 今、この文を読んでくれている(あなた)への手紙を書き終えよ
うとしている僕は、瞳を閉じると見える、人知れぬ一本の大樹が、
空へと張り巡らせる枝々に、無数の葉を躍らせて奏でている風の唄
に、耳を澄ましている。 








散文(批評随筆小説等) 詩人・一期一会 〜序章・誰も知らない一本の大樹について 〜  Copyright 服部 剛 2006-11-22 10:57:50
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