降り来る言葉 XXV
木立 悟





火の向こうに
もうひとつの火があり
さらに向こうの火に重なり
ひとつのようにじっとしている


一本の木が
雨を呼びつづけている
丘は近づき
わずかに崩れる


届かない手があり
のばし
振り のばし
まだ 届かないでいる


寒さに顔を縮め
衝突する星雲の窓を見つめる
明るく遠い
うたの道のり


棚の本に囲まれ
蝋燭の火がある
午後が
いつ燃えてもいいように


鐘が覆い
枝に触れては落ち
水になり
曇を映す


しずくが
暗がりを照らす
火はさらに分かれ
窓を本に変えてゆく


鳥は喰んでいた実を離し
水に還り 音に還る
指を閉じた手のなかの火
花であることを放ちつづける















自由詩 降り来る言葉 XXV Copyright 木立 悟 2006-11-19 20:27:09
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