彼岸花
茉莉香

 透き通るような白い手に
 青い細い血管がすっと通っている
 つっと傷をつければすらりと
 赤い血はまだ流れ落ちるのでしょうか
 いいえこの白い手は萎んで干からび
 このまま大地に溶け込むのでしょう

 子供は笑いながらこの手を掴み
 お母様はお人形なのねと
 無邪気に彼岸花を私の胸元へ添える
 紅色の花は私の胸元を染め手は更に冷たく
 青い血管はさらに硬く縮んで参りました
 
 怨んでなどおりません
 うら若き乙女とまではいきませんけれど
 この手のうちに花に埋もれることができたのです
 ああ 子供が泣いていますわ 気がかりなのはこの子
 私はいつ起きるのかと駄々を捏ねていますの
 
 貴方 子供をお願いしますね 青ざめたお顔そうでしょう
 貴方の手にあるその薬が私を大地へと送るのです
 なぜか心は踊りますの 彼岸花が私に赤みを添えたせいかしら
 ええ 貴方と離れることができるからですわね 
 ええ 貴方とやっと向き合うことができるからですわね
  
 
 
 
 
 


自由詩  彼岸花 Copyright 茉莉香 2006-11-16 21:02:40
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