彼岸花
茉莉香
透き通るような白い手に
青い細い血管がすっと通っている
つっと傷をつければすらりと
赤い血はまだ流れ落ちるのでしょうか
いいえこの白い手は萎んで干からび
このまま大地に溶け込むのでしょう
子供は笑いながらこの手を掴み
お母様はお人形なのねと
無邪気に彼岸花を私の胸元へ添える
紅色の花は私の胸元を染め手は更に冷たく
青い血管はさらに硬く縮んで参りました
怨んでなどおりません
うら若き乙女とまではいきませんけれど
この手のうちに花に埋もれることができたのです
ああ 子供が泣いていますわ 気がかりなのはこの子
私はいつ起きるのかと駄々を捏ねていますの
貴方 子供をお願いしますね 青ざめたお顔そうでしょう
貴方の手にあるその薬が私を大地へと送るのです
なぜか心は踊りますの 彼岸花が私に赤みを添えたせいかしら
ええ 貴方と離れることができるからですわね
ええ 貴方とやっと向き合うことができるからですわね