ノート(一夜)
木立 悟
何かが去ったあとの高鳴り
大きなひとつの花になり
たくさんの小さな羽になり
微笑みながら消えてゆく
ひたされたとき
見えるかたち
雨はすぎて
胸とくちびる
する と される
さかいめは無く
触れる時間
妨げる熱
往々にしてそこにあります
水の入った小瓶のなかです
混ざることのない
色の羽です
音は無言で雨を見送り
胸は苦しく水を欲めた
呑み干したとき生まれる火
からだのどこかで骨になった
眠る手のひらを見つめていた
伝う水を見つめていた
はばたきの残る今日の背中に
いつのまにか明日が来ていた
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