お店をでたら
虹村 凌

本当は大好きなくせに
本当は抱きたいくせに
「そうしない方が僕等の為だ」なんて
シラフなのに言わないで
噴き出しちゃうじゃないの

ねぇ
本当は抱きしめたいんでしょ?
髪を撫でて匂いをかぎたいんでしょ?
わかってるんだから
可愛いわね
だから何もさせてあげないの
自分で言ってごらんなさいよ
「足に膝に手にキスをするから」って
ほら
その煙草を咥えてる口で
何を噛みたいのか言ってみてよ

可愛いあなた
息苦しいのね
珈琲は冷たくなって
吸殻はたまっていく一方
煙だけ見つめて何をしてるの?
時々足をぶつけるのはわざとなの?
何も言わないんじゃわからないわ

好きなんでしょ?
抱きたいんでしょ?
愛し合いたいんでしょ?
「そうなったら僕等は終わってしまう」なんて
私を見つめながら言わないで
噴き出しちゃうじゃないの
かわいいひと
お店を出たら
きっと手をつないであげるわ


自由詩 お店をでたら Copyright 虹村 凌 2006-11-15 15:21:00
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