息子（小３）が「学校行きたくない」と言ったのが今年の７月始め。話を聞くと、「死ね」「この世からいなくなって」「うざい」等の言葉の暴力、身体の方はあざなどないけど、しょっちゅう蹴られたりこずかれたりするらしい。
担任にその旨を手紙で書くと、電話が来た。
担任の言い分はこう。

・この年齢ではよくあること、この年齢の子供は残酷
・言っている子は遊び半分で本気ではない
・あまり押さえつけると、陰湿になる可能性がある
・もっと高学年になっても、そういうことがあるから、強くなって、慣れたほうがいい
・クラスでも指導・注意はしている

それに加えて、他のお母さんたちの話では、一番つっかかってくる子は誰に対してもそうで、１年生の時から両親が学校に呼び出されたりして要注意の子だと。

相手は毎日クラスや息子を見ている先生だから、その言い分に確信をもって反論はできない。息子は一人っ子でちょっかい出されるのに慣れてない、打たれ弱いというのも確かだ。問題の子の家庭が問題があるというのも、他のお母さんから聞いて何となく分かる。（１年の時学校に呼び出されて３年でもまだそうなんだから・・・）
今は様子を見ています。２学期に入ってすぐ、その問題の子と息子が喧嘩（というか一方的にやられた）して、周りの子が息子を応援してくれたことがあったらしく、何かその時から「行きたくない」と言わなくなりました。
先日はその子の母親が一緒にクラス全員の子に謝ったというし。
予断は許されませんが。

人に向かって「死ね」と言える子の気持ちはさっぱり分からないけど、何かそう言わしめるような心の具合やクラスの煮詰まり度や現代の常識というのがあって、それは言葉そのものを責め、やめさせたところで、改善されはしない（多分）その言葉を言ってはいけませんとか、それが禁止されれば、他の言葉を持ってくるだろう。だってそれを言いたいんだから。言う自分を周りにアピールしたいんだから。言わずにはおれない何かがあるんだから。
だから、言ってる子が「悪い」とか、「言っちゃダメ」ということで解決されるほど簡単なことじゃないだろう。悪いのは責任持ってる立場である親や社会の方かもしれないし。

私は息子の言うことは全て息子にとっての真実だと思って聞くけれど、息子のこともよく知っているけれど、それでも分からない。
息子は今「鍛えるべき時期」なのか？「逃げるべき時期」なのか？
本当にそれは「よくあること」なのか？「深刻な問題」なのか？
遊び半分なら「いい」のか？「悪い」のか？
言ってる子にはどの程度の罪があるのか？それとも親や社会が悪くて、子供には罪はないのか？
何が正しくて何が正しくないのか、はっきりとは分からなくて、すぐには答えも出なくて、全てがグレーゾーンなのだと思う。それは法律で決まっていない事柄全般に言えることだけど。
そのグレーゾーンでぼやぼやしているうちに、取り返しがつかないことが起こることが、しょっちゅうあるんだろう。（特に言葉の暴力の場合）
そして、取り返しがつかないことが起こった後でさえ、当事者でなければ、あの時のあれが黒で、あれが白だったんだ、と細かく言い切ることができない。それでも憶測でもってあの時ああすればよかった、こうすればよかった、といえるかもしれないけど、全ては終わってしまってからわかること。

親は無力だ。いつでも「これはいい？悪い？本人はこう言ってるけど、先生はこう言ってる。本当のところは誰にもわからない・・・」というグレーゾーンでぼやぼやし続ける。けど、子供が普通に「学校休みたい・やめたい」と言える親でありたい。遠慮とか、困らせるからとか、プライドがダメになるとか、そういった理由で言えない雰囲気にはしたくない。

命のことに、遠慮はいらない。
親なんて、困らせて当然。親孝行は生まれて３年でもうすんでるんだから。
プライドは、難しいけど、それを捨てる勇気を持てた、というのも新たなるプライドになると思うし。（本当は、捨てたと思ってもちゃんとあるんだけど）

そう思って欲しい。多分、休み方や辞め方にも色々と問題や対策があるから、一緒に考えさせて欲しい。そういう信頼を得たい。
得るように努力したい。
私はそうできているだろうか。
それすらも、分からない。（子供の話を聞いたり、しょっちゅう学校に顔を出したりはしているけど）
１０年後、２０年後も子供が笑っていたら、初めて分かることなんだ。

※
後日談

問題の子と息子が喧嘩（というか一方的にやられた）件ですが、後で知ったのですが、仲のいい女の子がその子にいじめられていて、かばって喧嘩になったそうです。
その女の子のお母さんから聞きました。「ピアノの時、一緒に自転車で帰る時は、娘の自転車を出してくれるんだって。優しくてかっこいいねっていつも言ってるのよ」
息子がそんなジェントルマンだったとは。知らぬは親ばかりなりです。