60億人分の湿った脳細胞の囁き
虹村 凌

十代の頃に大事にしていた気持ちが
今となってはどうでもよくなってる
走査線の向こう側に記憶を切り売りして
煙草の煙に笑ってる

目の前で誰かがこの手で殺されていく
みんな見てみぬ気にしてるフリのフリ
こうやってガン細胞は増殖してくの
そんな事を言う君には
その代わりにスペシャルデリヴァリィを
抱擁と接吻は正常位を
スペシャルデリヴァリィをあげるよ

君のスタイルには価値がありそうだから
僕のスペシャルデリヴァリィをあげるよ
この孤独な道を少しでも楽しくさせようよ
僕が嫌いだというなら僕を保証してよ
僕が好きだと言うのなら
君のスペシャルデリヴァリィをおくれよ
抱擁を接吻を騎上位を

僕が殺した人々
僕が傷つけた人々
否定されたまま変わろうとする人々
もう手遅れだと気付かない人々
心なんかとっくに売っ払っちゃった
もう嘘の行間だって見えやしない

点数がつけられるよ
走査線の向こうから点数が言い渡されるよ
評価しようともしないのなら
過剰補給だけしてればいいのに


(あぁ…いつかちゃんと言うから。君の目を見つめて言うから。)
(それは…あぁ、それは次に会う日じゃないかも知れないけれど。)


僕の言うことをこうやって見ているだけで
共感なんてちっとも出来やしないだろう?
誰にも没収できないたったひとつのナイフだよ
どんどん早くなっていくのに
ブレーキが無いのに
ナイフだけは手放さない

環境の産物である僕達は
常に文句ばかり吐いているゲロ以下の匂い
純愛は相手を滅茶苦茶にしてやりたくなる気持ちだと
淫売の突き出したケツの穴の様な口から
一日一回言わなきゃ気がすまない

真実とイカサマ
警察と悪党
先生とママ
鮫肌男と桃尻女
僕と君が手を組んで
光り輝くコクピットで笑う
飛び切りでかい声で嘲笑う
世界を壊してセックスしよう

(初めてのキスを初めてのセックスを綺麗なものだと信じる奴を
見つけ次第撃ち殺す見つけ次第切り殺す)

幻想は幻想のままで
現実が現実のままで
僕は君にスペシャルデリヴァリィをあげるよ


自由詩 60億人分の湿った脳細胞の囁き Copyright 虹村 凌 2006-11-12 11:52:34
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