みず
Rin.

   


少しずつずれた紙の束を。揃えようと焦る
指先が乾くからまた少しずれてゆく、それを
ありふれていると笑いながら言の葉と呼び合った
ふたり



絶え間なく淡い音で空隙をうめて
みずは
午前二時に手をのばす
それはいつからかここを潤して、そして
いつかまた誰かの瞳に還るのだろう
めぐることはうつろに悲しく、ただ
みずをなぞれば
そうしないと知りえなかった傷がしみた

ひとしずくが
あのひとの何かをまねて胸をつたう
とぎれ
   とぎれ
みずのいのちはやまないというのに
途切れ、途切れる軌跡
ひとしずくは私に似た味がして
小さな空に秋を錆び付かせた
秋は、私に似た味がする



少しずつずれた言の葉を、噛むように束ねる
ずれたまま、濡れて剥がせなくなった夜に
みずが
静かに寄り添う











自由詩 みず Copyright Rin. 2006-11-08 23:19:13
notebook Home 戻る