愛されない孤独。。。
Lily of the valley

父が、言いました。
『お前なんかもう要らないよ。』と。
妹が、高校に通うために、父とボクの住む家にやってきた日のことです。
ボクが最初に住みだしたこの家。
父がボクを追って、ここに来たのは、ボクがこの家に来てから、1ヵ月後くらいのこと。
その時は、『お父さんには、お前が必要なんだよ。』って言ってたのに。。。
そう言った口で、今度は、『お前なんか要らない』という。
『何で?』
当たり前のように、ボクは訊ねました。
何と無く、理由は分かっていたけど。。。
『お前はこの子のスペアだったんだ。この子が来たら、お前が要らなくなるのは当然だろ。』
父は、さも当たり前のことのように言いました。
妹は、とても誇らしげな表情で、ボクを見ていました。
更に父は、『後お前が役に立ちそうなことと言ったら、親戚の誰かと結婚して、とっとと子どもを作ることくらいだな。お前には何も期待してないが、子どもになら期待できるかもしれんからな。』と言った。
ボクの部屋にあった、ボクの荷物たちは、次々に隅の方へと追いやられてしまいました。
ボクが、何をしたって言うのでしょう。。。
次の日、ボクは自宅から5駅ほど離れた、逆瀬川に居る兄を訪ねました。
兄に全ての状況を話して、ボクは少し眠りました。
目が覚めたとき、兄は仕事に出掛けていて、テーブルにあった書置きどおり、食事をして、兄の帰りを待ちました。
兄が帰ってきたのは、夜の11時過ぎ。
それから兄の車で、家に帰りました。
家に着くと、父親と話し合いをしました。
父が発した言葉は、
『この子が公立(の高校)落ちたら、お前は大学行かせないからな。』でした。
妹は、行きたがっていた私立には受かったものの、一応公立も受けることになっていました。
でも、第一志望が私立なら、公立のテストで手を抜くのは、目に見えていました。
一方ボクは、私立は何とか合格したものの、行きたかった国立は不合格で、私立のほうに入学届けを出していました。
父の言い分では、私立に二人も行かせるほどの余裕がない。
だから、ボクより妹を取るってことでした。
いつだって、父が大切にするのは妹で、ボクを見てはくれなかった。
悪いことはいつもボクの所為で、手柄はいつも妹のもの。
母は、父と結婚したことを後悔していました。
そんな母には、話せるはずもなく、ボクはひたすらに耐えました。
先日21日、公立高校の結果発表でした。
案の定、妹は不合格。
妹の担任に聞いたところ、同じレベルで落ちたのは妹だけ。
明らかに、妹は手を抜いたのだ。
でも、不合格は不合格な訳で、父は妹に、『残念だったけど、私立で頑張れよ。』と励ました。
そして、次の瞬間、ボクのほうに向きかえって、『言ったとおり、お前は大学には行かせないからな。』と冷たく言い放った。
それを聞いて兄は、『あなたが学費を出さないなら、私が出します。』と言ってくれた。
そして、『この子は、私が引き取りますから。』とも言ってくれた。
すると父は血相を変えて、『そんなことされたら、誰がこの家の家事をするんだ?こいつはそういうことをさせるために育ててきたんだ。』と怒鳴りました。
ボクは、ただ家事をするために育てられてきた人間だったのでしょうか、本当に?
最初から、それだけだったのでしょうか?
誰も、ボクのことを愛してはくれなかった。
誰かのスペアにはなれても、誰かの一番になることは出来ない。
その後、部屋に鍵をかけて、何度も手首を切ろうとした。
でも、その度に、あの人の言葉がよぎる。
『もういい加減に止めなさい』
そう言ってくれた、ロバ男先生の言葉が。
自分の好きなことをして生きろと言った先生の言葉が、ボクを雁字搦がんじがらめにする。
ここに、こうやって文字を並べていても、それは全てただの自己満足で、自分勝手な独りよがりでしかない。
ボクは、今週の土曜日(27日)に、長野へと引っ越す。
たった一人で。
プロフィールではもう引っ越したことになっているけど、実際にはまだ関西でのた打ち回っている。
『家事をする』
そんなくだらないことをさせるためにボクを育ててきた?
そんなもののために、12年間もの間、高い入院費を払ってきたと言うのか?
何故、そこまでする必要があったんだろう。
家事をしてほしいなら、お手伝いさんでも雇えばよかったのに。
ボクは、自分が生まれてきた意味を探している。
誰もが生まれたからには、同じことを考えるんだろうけど、答えは見つかるのかな?
分からないけど、分からないなりに、ボクは生きてる。
死ぬことも、ボクには許されないみたいだから。。。


散文(批評随筆小説等) 愛されない孤独。。。 Copyright Lily of the valley 2004-03-23 01:55:59縦
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