「 うつくしくなんかない。 」
PULL.







おまえの醜さが好きだ。
嫉妬に狂ってわめき散らす、
おまえの顔が好きだ。

ものを投げる時に、
わざと割れないものを投げる。
おまえの計算高さが好きだ。

夜中にそっと、
おれの首を絞める。
おまえの狂気が好きだ。

おれの昔の恋人の写真を燃やし、
それをおれに見せつける。
おまえの炎が好きだ。

おれの顔に嫉妬する。
おまえの歪んだ心。
もっと好きだ。

愛してると、
決して言わせない。
おまえの臆病さが好きだ。

好きだ。
愛おしい。
愛おしくてたまらない。
おまえをもっと見せてくれ。
おまえの最も醜い姿を見せてくれ。
おまえが愛おしくて醜くてたまらない。
おまえのように愛おしくて醜い女はいない。
おれはおまえのように醜くはなれないが、
おまえのその醜さとおなじぐらい、
おまえを愛しているよ。

もっと醜く、
おまえを愛したい。












           了。



自由詩 「 うつくしくなんかない。 」 Copyright PULL. 2006-11-07 16:22:20
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