かんだちの遠吠え
ふく

雷鳴ひとつ



雷が遠くの方で鳴きました
光るたてがみは見逃したみたいです
秋雨をきっと連れてくるのでしょう



     ぽつぽつぽ
     ことんことんことんことんことんことん
     っちゃっちゃっちゃっちゃっ
     ざざざざ ざざ ざざざざざざ ざ
     ぽっつ ぽっつ ぽっつ ぽっつ ぽっつ
     たたんたたた た
     ざっざざざざ ざざざ
     ちぴちぴち ぴち



傘と雨の音が歩いてきました
随分とにぎやかに、それはもう、



     しゅーーしゃぱーーん



車は急いでるようでした
灰色の窓から聞こえてくるのは、残像と音だけのようで



牛乳越しに見る空は真っ白で
冬の準備をしているように見えました



     ぴちょ ぴっちょ ぴちょ
     とん とん とん とん とん と
     っちゃ
     しょろしょろしょろしょろしょ



雨は
秋を少しずつ連れていきました
雷も
雨だれの足跡を残していきました



暗い 白い空








自由詩 かんだちの遠吠え Copyright ふく 2006-11-07 11:10:46
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