祈り
青山スイ

駅前の寂れた広場
少年がギター片手に
この世の終わりを歌っている
死んだ魚の目をしている

完全だろうが不完全だろうが
事態はすでに起こっていて
動いていて生まれては無くなっていて

平穏な生活なんて
壊れてしまえば
とても小さな存在なんだ
どうしようもなく人間なんだ

想像の果てに
辿り着いた場所が
腐った缶詰みたいな
姿だっとしても

きっと少年のようには歌えない
慣れてしまう事は
こんなにも恐ろしいというのに

夜空に浮かぶ月が
架空の幻想の対象としてでも
優しく照らしてくれるなら
祈れるものはすべて
叶おうが叶うまいが


自由詩 祈り Copyright 青山スイ 2006-11-02 22:14:56
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