対色
ふく

その
青い腕が捥がれるような感覚はいつからだったでしょうか。
青い腕は空を飛び、地を跳ね、思うように風に乗れたというのに。

オレンジの世界は、私にはまだ明るすぎてうまく泳げないのです。
息継ぎもできない。
そういえば、私は泳ぐのが得意ではありませんでした。
昔から。

青を知っていますか?
朝にも昼にも夕にも、夜にすらある青の素晴らしさを。
空気にも影にも人の中にも、青は見えるのです。
あの青をすくい上げる私の青い腕。
私は好きでした。

オレンジの世界は、私にはまだ明るすぎてうまく歩けないのです。
見えているのに振る事が出来ない。
明るければ明るいほどに、腕の影が濃い青になるのです。
平等に照り付ける。



青いコップにオレンジジュースが注がれます。
果汁は、



濃い青の影は夜に消えずに立っていました。
遠く遠く伸ばしていました。
その影を遠く遠く。
月が照らしても、青には変わりありませんでした。


未詩・独白 対色 Copyright ふく 2006-11-01 18:46:41縦
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