*苺ジャム幻想*
かおる


春まだ浅い朝に摘んできた
ルビー色の甘酸っぱい宝石
籠をいっぱいにするより先に
ちっちゃな指と口の周りを
真っ赤にしてた
そんな美味しい歓声に
真っ白な砂糖をたっぷりかぶせて
ホウロウのお鍋でコトコトクツクツ
大海原を紅く染める夕日のように
とろりとした色に煮詰めていく
出来上がった苺ジャムのつぶつぶを噛むと
懐かしさが口いっぱいに広がっていく
バタバタとした忙しい朝に
あの時の甘酸っぱい想いを
一口乗せて食べる幸せ
きっと今日も頑張れる、ね
寝坊して朝食を抜いて
飛び出していこうとするあいつの口にも
ギュッと詰め込んでやりましょう


自由詩 *苺ジャム幻想* Copyright かおる 2006-10-24 08:50:50
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