「いそがしくて暇がない」
七尾きよし

今のわたしの生活にはぴんとこないの
あなたの言葉は

考える暇がないの
いそがしくて
目の前にあることで精一杯なの

愉快に私を笑わせて
考えることなんてこれ以上要らないのよ
今のわたしには

いそがしくて暇がないってことが現代の諸問題の根源にある言葉なんだろうな
人間は、なぜ無知のままでいることをよしとするのか
現在の自分を正しいものと肯定し未知のものを拒絶する言葉
ある意味では生存するための命綱であるんだよ
それが

これ以上わたしを変えるようなことはしないで
という無言の悲鳴のようなものだ

意識にないことを知ることでわたしは幸せになるの?
そう聞かれてもぼくに言えることは
そんなことないよ なにも変わりはしない  
でも

きみがきみ自身の一部である歴史や環境や心の動きをばっさばっさと切捨てながらその先にある微笑へと手を伸ばす姿をこれ以上見ていることがつらいんだ
要するにぼくがつらいって話だ
そういう話

自分勝手に悲しいよ




自由詩 「いそがしくて暇がない」 Copyright 七尾きよし 2006-10-18 14:04:10縦
notebook Home 戻る  過去 未来