少年と老婆
服部 剛

体のまあるい婆ちゃんが 
ぜいぜいと団地の階段を上っていた 

通りがかりの少年は 
後ろから両手で腰を抱えて 
ゆっくりとした歩調と合わせ押し上げた 

( 振り返ると 
( 団地の外の眼下には 
( 夕暮れに染まる小学校の校庭 
( 子供達はぴーちくぱーちく 
( ひっきりなしに 
( 走ってた 

ぜいぜいと 
自分の部屋の玄関に辿り着いた 
まあるい婆ちゃん

ドアを開けて入るやいなや 
「ちょっと待ってて」
と姿を消して 
健気けなげに立っている少年に 
ヤクルト一本持って来た 





自由詩 少年と老婆 Copyright 服部 剛 2006-10-13 00:51:39縦
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