こんにちは、望郷
こしごえ

ひとりきりで終りはないと真空で泡立つの
そんな風に青く生らないで
わたくしのけじめ


まるい樹木で虚実は木霊している
朝日のもとを死霊しれい
破邪をささやき帰還してゆく
解像度のループ線で
暗転する景雲
影が透けてゆく

果物ナイフで等分した長十郎を
一切れずつ墓前へ乗せてゆく
都会の小さな運動場の
人いきれで互いが蒸留塔を
会話しながら澄んでゆく

遠くにきたのか
遠ざかっていったのか
とにかく
すぎすぎて遠くにいる
冷蔵庫をあけたときの
少しばかりの冷気が
肺に流れこむ感じを
おぼえている?
おもい出すのスパーク、スパーク・・・
おもい出したならば吐き出すの
スパーク

おもく火花が、ちってゆくわ
      、ちってゆく
水気すいきが甘く漂うゆらめきに
目をほそめながら
しなやかにのけぞる白い花
      、ちってゆくわ


今日は、(始める
零がゆらぎ
静まる 静まる溺れゆく浮力
わたくしは、終りをしることは出来ないの)







※長十郎(ちょうじゅうろう)=梨の一品種。赤梨。





自由詩 こんにちは、望郷 Copyright こしごえ 2006-10-12 07:18:38縦
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