アクロス・ザ・ユニバース
河野宏子

スケッチをするのにも飽きてしまって
ずっと前とずっと先のことを見つめてみたんだ
どこから来たのかどこへ行くのか
捕まえたと思ったことばは
僕の手の中ですぐに輝きをなくす

子どものころにテレビで見たんだ
地球の位置と人類の歴史を乗せた金属の箱が
宇宙に向けて放たれて
今このときも暗闇を漂いつづけているらしい
箱の中にはビートルズの音楽が
誰かに届くようにたいせつに詰められているんだって

笑われるかもしれないけれど
僕はその音楽になりたいと思った
どんな色の眼差しにも
同じように光は宿る そして
肉体が失われたあとにも
失速しないで響いていく声

笑われるかもしれないけれど
ポピュラーミュージックになりたいと思った
ありふれた僕達の生活を
つないでいく糸に


自由詩 アクロス・ザ・ユニバース Copyright 河野宏子 2006-10-09 23:17:00
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