雨宿り
水在らあらあ






パン屋で晩ごはんに
パンを買ってたらさ
雨降ってきて
俺のほかにお客さん三人
雨宿りだ
このパン屋は引っ越してからよく来るようになった
おいしいし
お姉さんがきれいだから
焼きたてのパンの匂いがするね ほら
どこからかなあ 俺たち浜辺にいるのにね
ああ 君の髪の毛からだよ クンクン 
なんていうことを
してみたい
そこにあるワイン開けようぜ リオハの若いやつ
こないだ俺二本買ってったじゃない
おいしかったよ でも
そっちのシャンパンでもいいよ
このまま雨が降り続いて
ずっとずっと降り続いて
そうしたらこのままここで俺たち結婚式を挙げよう
証人二人はこのおばちゃん達
神父さん要るならこのおじいちゃんでいいよ
あれ おじいちゃん帰るの 
まだ雨強いぜ 気をつけな バイバイ
しかたないね 神父さん帰っちゃった 杖ついて
そしたらさ パンで作ろう 神父さん エルビスかなんかの
それで二人でワイン飲んで
パンちぎって
手でちぎって
結婚指輪は君が作って
お菓子とか上手そうだから 
食べれる結婚指輪って いいのか いいか
そして誓いのキスはきっと
甘いんだろう 怖いくらい 甘いんだぜ
君のその唇より甘いお菓子なんてこの世界にないんだぜ
それで さ 
そのあとも君はずっとパン作って
俺は実は白いごはんとか食べたくなってるんだけど
我慢して
ワインがおいしくなくなって
君を悲しませるのが日常になっちまって
雨はまだ
ずっと降り続いて
だから やっぱり
さあ
もう俺 帰るよ

バイバイ またね ありがとう



土砂降りの中
シャツに買ったパンかくして
走る

素肌を 焼きたての
硬い生地が
ひっかいて
ひっかいて
痛くて
それが
心地よくて
いい匂いもして







自由詩 雨宿り Copyright 水在らあらあ 2006-10-06 05:20:13
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