ひつじ雲
LEO

しんと静まる部屋の片隅
迷い込んだ虫の声
リリリと鳴くは鈴虫か

秋の気配が深まりつ
冷気が足先に絡まって
空を切る目に
眠気はちっとも訪れない

天上を柵に見立てて
ひつじを数えた

一ぴきから始まって
ひつじが二ひき
ひつじが三びき

九十九まで数えたら
窓から月が顔を覗かせた

ひつじが百一ぴき
ひつじが百二ひき

四百九十九まで数えたら
流れる星がちらりと見えた

五百一ぴき
五百二ひき

迷い込んだ虫も寝静まり
音はなくても月明かり

いくつのひつじを数えたか
忘れてしまったその頃に
夜が白々明け始め
露のおりた窓が
ひんやり優しい風を招き入れる

見上げた朝に
夜長に数えたひつじの群れが
空いっぱいに並んでいた


自由詩 ひつじ雲 Copyright LEO 2006-10-04 21:21:52
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