孤影の鳥
こしごえ

ある季節の終りに
風鈴が
まぶしくゆれていた

わたしは 風へ帰れるだろうか
いつの日か
空で回旋する球形の庭園に
立ちよることが出来るのか
ゆれることと立ち尽すこと
そして、歩いた先へ昇り漂うこと

卵の響く距離
その手をはなしてしまった日から
青ざめた風
に高く透けていく青空から
おちて来る
羽根の影のあわくうすいあえぎ
ゆれることと



清んでいきながら壊れるだろう空をささえているのは尊厳



わたしの肺に住む鳥
風の骨格をして涙の強度で
羽ばたいて
羽ばたいて青青と繁り
黒曜石が暮れていく地平へ
息をつぐ

それから(最後の朝は終らず)
私という時空を経過していき
ある季節を
始める








自由詩 孤影の鳥 Copyright こしごえ 2006-09-28 15:47:29
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