incompetent
マッドビースト


朝 ちゃんと起きられない

煙草をやめられない

満員電車に慣れない

新聞を読まない

爪を噛む癖が抜けない

目を見ながら話せない

煙草をやめられない

うまく話せない

コンビニのコに声をかけられない

仕事がうまくできない

人付き合いができない

運動不足

煙草をやめられない

帰りの電車も苦手だ

また煙草

うまく眠れない

君に話せない

うまく話せない

うまく恋ができない

SEXができない

煙草がやめられない
なにもできない


なにもできないのだと思う夜にこそ
詩を書きたい

なにもできないが
詩もおそらくは書けないのだが
詩が書きたい
幾許かの質量を持っているこの体が
(広大な無の宇宙の中で偶然結実しているこの質量が)
体の奥でか細くともまだ消えていない青い精神の火が
何某かの意味を持っていると訴える
なにもできないと思う夜にこそ
精神と肉体が反言の詩を書かせる

詩が書きたい
僕は冷めつつある宇宙の只中にいる
全ての比喩が使い古され世界が止ってしまう前に
一遍の詩が書きたい
今一つの精神であった証の詩が


未詩・独白 incompetent Copyright マッドビースト 2006-09-28 00:14:37縦
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