おめでとう
水在らあらあ

                    



今日は仕事ないから
俺たち遅くまで寝てたっていい
でも空がほら
あんまり青いから
外に出ようぜ
競争だぜ
階段駆け下りて
飼い犬につまずいて
芝生の上とびはねて
公園の
白樺をいちいち抱きしめて
道行く人々みんなに
こんにちは して
こっから7時間先の
あの雲の向こう側で
女の子が生まれたんだ
俺の兄貴の子供なんだ
かわいいんだぜ
理真っていうんだ
まあちょっと硬いし
俺は花子とか まあ なんか
花の名前にでもしなって
言ってたんだけど さ
そうもいかないらしくて
まあ
スペイン語だと
LIMAだったら果物のライムで
RIMAなら韻だ
詩とかの ね
まあ
いい名前だって 
おもうでしょ

ねえ
もうおじさんだよ俺も
えへへ
はやいな 時間
そいえばビルマの子供も
もうすぐ生まれるね
男の子だってね
セバスチャンって
半分冗談でつけようかって言ってた
まあ
サン・セバスチャンで生まれるわけで
ビルマは
オランダの人だし名前いろいろ
考えるんだろう
オランダ人には発音むずかしい名前が
バスク語にはたくさんあるから
まあ
その子は さ
お母さん二人だ
ビルマも
アランチャも
いいお母さんになるだろうけど
それも なんだか神秘だ
この公園の孔雀たちにも雛がたくさん生まれたし
そうだ
俺 見たんだよ交尾
その交尾をする前の求愛の儀式からさ
春の終わりに
びびったよ
魔法だよあれ
俺もやられるところだったよ
孔雀はもうあれは王族だよ鳥類の
ほらだって見てみな今日も
ハトがたくさん
あの孔雀のつがいの周りで眠ってるだろう
ハト街中であんなふうに眠ってないだろう
なんて美しい王国だろうね
あの孔雀の首の青色なんてないぜ
あの青を
俺はこの街の海にくれてやりたい
そういやこないだ行った川
おたまじゃくしすごかったね
ものすごく久しぶりに見たけど
あれが蛙になるってことが
子供の頃はほんと
ふしぎだった
魔法だった
こないだ
なんだか
あらためて
びっくりしたよ それは きっと
いいことだと おもう
イゴールの猟犬にも8匹赤ちゃん生まれたし
母犬こないだ
狩りの途中で
交通事故で死んじゃったけど
あの8匹
あの力
あの喜び
あの
いのちと
俺ずっと遊んでたいよ
一生
できれば
ときどきおまえにしろ
おまえのいとこの女の子たちが
エサくれに来て
それでいいや
ああ
アマヤの子ももうあと数日だって
イドヤもそうだろ
おまえのいとこ
みんな
そんなだ
なんだか
いいな
すごいな
生まれるって
俺も
生まれたんだよもう
だいぶ前だけど
おまえだって
同じくらい前で
俺を生んだのは
俺のははおやで
おまえのははおやは
おれよく知ってるけど
おまえは俺の母親も父親も
そんなに
知らないな
まあずっと俺たち
こっち住んでるし
まあ
そういうこと言うの
今日はよそう
距離とか
あっちとか
こっちとか
よそう
こことか
むこうとか
やめよう
楽しいことだけ
なんだかそういった明るいことだけ
ほら この
木漏れ日みたいなことだけ

きょうはそういうことだけ話そう





ああ、生まれる
いま、
見えるか、
また、






人が、
動物が、
植物が、
虫が、

星が、







ああ、
ほら、
つぎの、
いちびょうが、


いま

いま

いま

いま

いま
















泣きながら











自由詩 おめでとう Copyright 水在らあらあ 2006-09-27 01:36:14
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