月の夢もしくは花の香り
プル式

一・何処までも泳げるだろう

遠くに見える島を目指して泳ぎだした
泳げども辿り着けないその島は
蜃気楼なのだろうか
それでもまだ
辿り着けると信じていた

二・振り返ってはいけない

隣を泳いでいた筈の友人が居ない
遅れたのだろうかそれとも
遅れたのは私だろうか
不安になり振り返ると
大きな夜が口をあけていた

三・潜る

大きな波に飲みこまれて息が出来ない
海の底まで沈むのだろうかと
沈む先を見ようと目を開ける
意識が遠退いた所為だろうか
まるで太陽の様な輝きが見えた

四・漂流した楽園

手を伸ばせば果実がある
何処までも広がる楽園はしかし
夢なのだろうか
その夜に私は
ひっそりと楽園を後にした


自由詩 月の夢もしくは花の香り Copyright プル式 2006-09-27 00:06:41
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