aquarium
半知半能
その水族館では一日に
水圧が上がっては下がって
悠々と泳ぐ魚達が苦しんで死んで
いく、様子が
楽しめます、
ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ
彼女と僕の水族館めぐりが終わるとき
それに合わせたかのように
水族館のシャッターが下りていく、
内側から漏れるひかりが
だんだんと遮断されて
外側に
彼女と僕と魚達の死骸だけが
残った、
(時計が10時を指す)
建物の影から
黒い子供たちが駆けてやってきて
魚達の死骸を拾っていく
黒い子供が黒い指で触れた魚のうろこが
やけに綺麗に子供達の瞳の輝きを反射して
やがて、
入り口前の広場
彼女と僕だけがまた
残った
、
水族館から締め出され
て、
どちらが内側外側だったかが
わからなく
なり、
上がったり下がったりする水圧
に
耐えられなくなって
しまって、
誰もしゃべらないから
音が無いのだ、なんてことも不明、
そして
手を繋いでいたことを
思い出す。
思い出しては忘れ、
黒い子供はもういない
いない
まるで
浅い呼吸を覚えた金魚のような
必死さで、
我に返ると僕は彼女を拾って
家に帰った
大きな水槽で一緒に眠る、
次は君の番
自由詩
aquarium
Copyright
半知半能
2006-09-26 04:02:36
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